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おとうと

f0149664_11375716.jpgおとうと
幸田文著

気丈なげんと繊細で華奢な碧郎。姉と弟の間に交される愛情を通して生きることの寂しさを美しい日本語で完璧に描きつくした傑作。

これは私の実の弟の本棚にあった本。私の弟いわく、「弟だけに『おとうと』は読んどかんとな。」と言いながら学生時代に読んでいたのを思い出します。それから20年が過ぎました。やっと弟の『おとうと』を姉が読むことになりました。(なんのこっちゃ。)
そんなふざけたきっかけで読み始めたのですが、内容はきわめて美しく切ないっ!解説にもあるのですが、情景描写が美しい。そして家族の微妙な距離感が、あまりに切ない。姉弟間の愛情表現が、まさに絶妙。自身の体験を基にしているだけに、弟を持つ姉として非常に共感できました。もっとも、姉が言うのもなんですが、私の弟は実にまじめで、姉の私のほうが不真面目なので物語とは逆ですね。いつか弟に『おとうと』を読んだ感想など聞いてみたいと思いました。
by umekononikki | 2013-01-12 11:40 |

私の期限は49日

f0149664_1359515.jpg私の期限は49日
2011年
全20話

出演:イ・ヨウォン、チョ・ヒョンジェ、ペ・スビン、ソ・ジヘ、チョン・イル、ナム・ギュリ 他

黄泉の国へ来る予定外に死んでしまったシン・ジヒョン。そんな彼女が生き返るために、彼女のために流す3人の涙を49日の間に集める物語。イ・ヨウォンが観たくて観てしまった・・・。チョン・イルがなかなかステキな役。それにしてもぺ・スビンを見る度に、どうして彼が「朱蒙」で女の様な男の役に起用されたのかしらと思ってしまいます。さておき物語りはとても楽しめました。チョン・イル扮するスケジューラーが、個性的で面白い役どころでした。イ・ヨウォンも一人二役を見事に演じわけています。ハン・ガンことチョ・ヒョンジェも、回を重ねるごとに魅力的になってゆきます。そのほかの登場人物たちもそれぞれの役割があり、無駄の少ない展開に退屈しませんでした。単純に生き返るために涙を集めつつ、恋愛も絡めた内容かと思ったら、意外と奥の深い結末に感動。そうか、そうだったのかと、思わず膝を打った全20話。
by umekononikki | 2013-01-11 14:01 | 韓国ドラマ
f0149664_16101150.jpg魅惑の赤、きらめく金彩
加賀赤絵展

京都高島屋グランドホール(7階)

2013年1月8日。本日3つ目の展覧会。「加賀赤絵」と言われても、九谷焼といえばどぎついまでの華やかな青や緑の世界がまず思い浮かびます。チラシによれば、江戸後期に加賀藩が中国の赤絵の写しを作ろうとし、その技術と意匠が再興九谷焼緒窯に受け継がれ、独自の発展を遂げたようです。中国。明代の物から現代の作品までが展示されていましたが、とにかくどれも豪華絢爛。この豪華絢爛具合は、まれに見るものがありました。とにかく細かい。そして華やか。幕末ごろから金彩が施されるようになると、これまたファンタスティックとしか言いようの無い別世界を生み出しています。
陶磁器に興味のある方は、是非にとお勧めの展覧会です。私は九谷焼って一体何!?と、勉強しなければというほどの衝撃を受けましたよ。こんなにも素晴らしい技術や意匠が九谷焼にあったとは知りませんでした。ああ、興奮がおさまりません!年の初めから、驚かされた展覧会でした。
by umekononikki | 2013-01-10 16:12 | 展覧会
f0149664_14463839.jpg江戸絵画の至宝
-琳派と若冲-

細見美術館

2013年1月8日。京都国立博物館を後にし、細見美術館へ。なんでも細見美術館は今年で開館15周年だそうですね。それを記念した特別展の第一弾。
内容はそりゃ豪華。俵屋宗達、尾形光琳、中村芳中、酒井抱一、鈴木其一、そして伊藤若冲など。個人的には伊藤若冲よりも俵屋宗達が好み。とりわけ本阿弥光悦著、俵屋宗達下絵の「忍草下絵和歌巻断簡」やら扇などは持って帰りたいくらい。そうそう、先に行った京都国立博物館のミュージアムショップにも、この二人の作品を扇子にして売ってたのよ。よっぽど買おうかしらと悩んだのですが、昨年扇子を買ったばかりで必要ないしなぁと思い止まったのですが、ここに来て後悔の念。部屋に飾れるように台も売っていたのですが、部屋に飾る場所が無いのよね。
ああ、話がそれました。
多くの作品が展示されていたのが伊藤若冲。繊細にして大胆な作品は、これまで何度か眼にしたことのあるものがほとんどでしたが、何度観ても飽きません。同様に酒井抱一や鈴木其一などなど、何度観ても満腹感を覚えず、また観たい、もっと観ていたいと思わせるんですから素晴らしいですよね。
特別展の第二弾も楽しみに、美術館を後にしました。
by umekononikki | 2013-01-09 14:49 | 展覧会
f0149664_19362253.jpg国宝十二天像と密教法会の世界
京都国立博物館

2013年1月8日。京阪「七条」駅を降り、京都国立博物館へ。この日が展覧会の初日とあって、共催の朝日新聞社や後援の朝日放送の方々がちらほら見受けられました。初日といえども平日なので混雑することも無く、ゆっくり鑑賞できました。
館内に入るといきなり「国宝十二天像」がお出迎え。ここで既に圧巻。宗教に疎いので、この先の展示内容についてい来るか不安を覚えつつ先に進みました。しかし、杞憂でした。とにかく観て楽しめる内容。解説も分かり易く、興味深いものでした。密教というとどうも遠い世界のことのように感じていたのですが、長い歴史の上に、更に今日でもその祈りが続いていることを感じました。
併せて開催委されていた「成立八〇〇年記念 方丈記」。先日読んだ「親鸞」の「一念多念文意」に、「おおっ、これが親鸞どのの直筆かぁ~!」と、心の中でつぶやきました。
新平常展示館も大分できて来ましたね。それでも開館は来年春なのですから、待ち遠しい限りです。
by umekononikki | 2013-01-08 19:37 | 展覧会

親鸞

f0149664_2223916.jpg親鸞
吉川英治著

義経が牛若といって鞍馬にあった頃、同じ源氏の血をうけて十八公麿(まつまろ)(親鸞)は生れた。9歳で得度を許された親繋の最初の法名は範宴。師の慈円僧正が新座主となる叡山へのぼった範宴を待っていたのは、俗界以上の汚濁であった。

当初、五木寛之の親鸞を読みたく図書館で検索してみると、「~編」などと何冊も検出されどれから読んだらいいのやら、果たして完結しているのかと戸惑っちゃいました。こりゃ、家でゆっくり調べてからにしようと帰宅。押入れの中で探し物をあさっていると暗闇の中にうっすらと見える「親鸞」の文字。これは仏様のお導きとばかりに、探し物は何処へやらその本を引っ張り出しました。吉川英治といえば「三国志」や「宮本武蔵」のちゃんばらっぽいイメージが強く、「親鸞」なぁんてどぉかしらと思いつつ読み始めました。これがまぁ面白かった!前半は、苦悩うする若き親鸞に心打たれ、後半は彼により次々と人々が開眼させられる様に、読んでいるこちらが救われた気分になりました。私自身はどちらかというと無宗教だからか、親鸞の説いたような日常に中にある宗教の姿は親しみ易く共感できます。それにしても、苦労や苦悩の中から得たものは、価値あるものなのだと感じました。できれば苦悩せずに毎日笑って過ごしたいのですが、それは親鸞のように苦悩の果ての境地なのかもしれません。最近、「幸せ」をテーマにした本が流行っていますが、少なくとも「親鸞」を読めば、これからの日々の行いを少しでも良い方向へ改めようという気にさせてくれます。心洗われる一冊でした。
by umekononikki | 2013-01-07 22:23 |

鳥を探しに

f0149664_1026343.jpg鳥を探しに
平出隆著

「瞬間を丹念に記憶の中からすくいあげ、連記し、その世界すべての命をよみがえらせた散文の力に、快く屈した」と辛口の評論家に言わしめた名文を、「本物」を待ちわびた読者に。散文・詩集においても数々の賞を受賞した著者が描く二冊目の小説。

以前から非常に気になっていいましたが、かなり厚いために図書館で借りることを躊躇していた本です。年末年始にかけて貸し出し期限が3週間と延長されたので手にとって見ました。これが大正解!装丁も美しく、内容も素晴らしい逸品。年始からこのような本を読むことができて、幸先いい感じです。大きな事件が起こるわけでも無く、過去や、ベルリンでの生活、家族のこと、祖父のこと、祖父の訳した本の内容など、つらつらと思いつくまま書き連ねたような印象で読み始めました。そんな多くのエピソードの連続に瞬く間に飲み込まれ、この世の時間を止められたかのように感じる読書時間を過ごしました。素人の私が言うのもなんですが、これがプロの物書きのなせる業なのかと感嘆のため息。そんな表現のできる日本語の尊さも感じつつ、新年に良い本を読んだと幸せを感じました。
by umekononikki | 2013-01-04 10:26 |

停電の夜に

f0149664_16142993.jpg停電の夜に
ジュンパ・ラヒリ著
小川高義訳

9つの短い物語からなる短篇集。どの物語も読んだあとに、繊細な、人の心のひだに確かに触れたと思う感触と切ない余韻が残って、読後感がとてもいい。登場するのは一旗あげるためにインドから米国へ移民してきた人たちで、著者ラヒリにとっては父母の世代にあたるインド系1世と、その子ども世代。だから物語はインドと米国の間を行ったり来たりしながら展開する。
さりげなく書き込まれる料理、スパイスのにおい、衣装や装飾、そして夫婦間のやりとりといった文化の機微のなかに、ひとりひとりの人物像が鮮やかに、しかし淡々とした筆致で描かれていく。どの物語にも共通するのは、インドにはあったけれど米国にはない濃密な人間関係、その喪失感とそのために起きる心の揺らぎや戸惑い、身の置きどころのなさといったものだ。
著者ジュンパ・ラヒリは1967年ロンドン生まれの米国在住の作家。カルカッタ出身の父親は、本書を締めくくる「三度目で最後の大陸」の主人公のように、大学図書館に勤めていたという。このデビュー作でO・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞など数々の賞に輝き、ピューリッツァー賞まで受賞した期待の新人である。


非常に良かったです!私も訳者と同じ「三度目で最後の大陸」がお気に入り。場違いな場所にいる時など、痛さというほどではない痛さを感じることがあります。また、夫婦はもちろん、友人同士、会社の同僚、親子の間にも「違い」があり、毎日「違い」を感じながら生活しているのですから、誰もが共感できる思いの一つですよね。淡々とした表現で、登場人物たちの微妙な距離感の変化から、繊細で複雑な「違い」を見事に感じさせてくれました。自分以外の人間とは違っていて当たり前のことなのですが、そうとはわかっていてもその違いを乗り越えることは、時として容易ではないものですよね。その違いを乗り越えた物語も、乗り越えられなかった物語のいずれも、そこに存在する違いを見つめている点が読後に救われた気分にさせられました。
この本がデビュー作だそうですが、2000年の発行ですから他にも本が出ているかもしれませんね。チェックせねばっ!

ということで、遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今年が始まってしまいました。昨年ほど読書の時間が作れなくなりそうな今年。それに遅読だし・・・。量を読めば良いとは思いませんが、それでも1ヶ月に10冊を目標に頑張りたいなぁ。一年の計は元旦にありです。今年も頑張るぞ!
by umekononikki | 2013-01-01 16:15 |