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展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ノアの羅針盤

ノアの羅針盤_f0149664_11122084.jpgノアの羅針盤
アン・タイラー著
中野恵津子訳

60歳になって学校からリストラされた教師が、新生活の門出の夜、何者かに襲われる。病院で目覚めた彼に襲撃の記憶はなく、やがて彼は偶然出会った記憶係の女性に惹かれる自分に気づく。退院をきっかけに同居をはじめた末娘を始め、彼を取り巻く女たちとの葛藤を淡々と描きつつ、新しい人生の意味を浮かびあがらせる、名手アン・タイラーの新作。

ふがいないのは子供たちだけでなく、親も子供から見れば、どこか危なっかしい存在ですよね。そうなのです。子供から見れば、私の両親も年々老いてゆき、一緒に生活していないだけに気になってはいます。気にはなるけど、元気で旅行も地域の付き合いも参加し、面倒をみるなんて程遠い。私も自身の生活や遊びに忙しく、両親にかまうほど暇じゃない。そんな私の家族と、どこか重なって見えるこの物語。なんだか共感できる部分も多く、日常がこんなにも面白く読める素材になるなんてと、とても興味深い内容。家族だから言葉にしなくても解っているだろうと口にしないと、案外、言葉にしないと伝わらない事も多いもの。わずらわしいと敬遠していると、家族同士でも解りあえないものなのですね。
そして「老い」と向き合うことは、誰でもあまりいい気分じゃない事ですよね。しかし、「老い」は容赦なく、誰にでもやってくること。それがある日突然変身する訳でもなく、日々の積み重ねのように、徐々に静かに気付かれないようにやってくるから厄介なのかもしれません。自分では何も変わってはいないつもりなのに、気がつけばこんな年齢になり、世間の若者に対し理解不能に陥り、自分自身のこともままならなくなるから、さあ大変。正面からぶつかると重い問題ですが、それも日常に溶け込ませて徐々に向き合うと、なんだか新鮮な変化に思えてくるんですから不思議ですよね。
なんだか家族との日常が、暖かく素敵に思えてくる物語でした。
# by umekononikki | 2011-09-29 11:12 |

きみがぼくを見つけた日

きみがぼくを見つけた日_f0149664_902225.jpgきみがぼくを見つけた日
オードリー・ニッフェネガー著
羽田詩津子訳

愛する人は未来からやってきた。やがてくる別れを知っていた―。初めての出会いはクレア6歳、ヘンリー36歳。未来から来たヘンリーが、突然クレアの前に姿を現わしたのだ。当然、驚いたクレアだったが、以来、彼がたびたび時空を超えてやってくるのを心待ちにするようになる。全米を感動させた純愛小説『タイムトラベラーズ・ワイフ』を改題。

タイムトラベル恋愛小説なんて、少女マンガのノリで読み始めたのですが、これがどうして夢中に読んじゃいました。色々な方のレビューを読んでいると、細かな破綻はあるものの、そんな細かいことは気にしない私には、とても楽しめ満足した物語でした。
ヘンリーとクレアの純愛物語に、上手い具合に喜びや悲しみを盛り上げる要素としてタイムトラベルが織り込まれます。突然タイムトラベルしてしまうヘンリーを、変わらず待ち続けるクレアの寂しそうなシーンから始まるだけに、漠然とした不安を感じつつ読み進めました。少し変わったカップルに疑念を抱く者、協力する者。タイムトラベラーならではの、けれんみのあるエピソードに、ラストには感動が用意されているのですからたまりません!そして、不変の愛を、堅実に守ろうとする二人が切ないっ!良質の純愛小説に、乙女の気分になりました。面白かったです。
# by umekononikki | 2011-09-28 09:00 |

夏の香り

夏の香り_f0149664_9444185.jpg夏の香り
2003年 20話

出演:ソン・イェジン、ソン・スンホン、リュ・ジン、ハン・ジヘ、シン・エ、他

今更ですが「夏の香り」です。ユン・ソクホ監督の四季シリーズ。この作品だけ未視聴だったので、数話観て面白くなかったら止めようと決め、観はじめました。
物語は、愛した女性の心臓を移植した女性が、男の前に現れます。互いにその事情を知らないにも拘らず、魅かれあうのですが・・・。
そんなお約束の様な設定に、純愛物の美しい映像に音楽。まさに恋愛ドラマの「古典」。展開もお約束通りで、安心して観ることができます。それでもついつい先を観てしまうんだから、私も物好きだなと思っちゃいました。いえいえ、魅せる要素はあったんです。恋の行方に、心臓移植の真実がいつ分かるのか。でもねぇ、移植で性格や好みが変わるとはよく聞きますが、このパターンの恋愛は複雑ですよね。だからこそ、ドラマになるのでしょうけど。それでもやっぱり「古典」だなぁ~。新鮮味はありません。(そりゃ、そうだ。そこに期待する方が間違っているわ。)脇を固める人物たちも、何処か中途半端で効果的な役割を果たせず、とことん2人の揺れ動く心を中心にドラマが展開するんですよね。もうひとひねり欲しかったかな。
キラキラした夏の物語かと思えば、梅雨の中しっとりと抒情的に幕を開けます。中盤から夏らしくなり、物語も面白くなります。夏の明るい景色とは対照的な登場人物たちの揺れる心情が切なく、詩的なラストシーンが印象的でした。
# by umekononikki | 2011-09-27 09:44 | 韓国ドラマ
ニューオリンズ ギッター・コレクション展_f0149664_12515166.jpg帰って来た江戸絵画
ニューオリンズ ギッター・コレクション展

京都文化博物館

2011年9月24日(土)、京都へ行ってきました。お天気は良かったのですが、私の体調は悪かった・・・。それでも足を運んだのは、この秋は行きたい展覧会が目白押しで、日程の都合がつかないから。どうやって万障繰り合せるか思案中です。

さて、「ギッター・コレクション展」ですが、個人が40年近い年月をかけて収集した「日本の美」は面白かったです。収集家個人の好みが反映されているのは仕方が無いにせよ、アメリカ人から観た「日本の美」が必ずしも「わび・さび」だけではない事が興味深い。
個人的に好みだったのは、俵屋宗達「鴨に菖蒲図」に、酒井抱一「朝陽に四季草花図」。
宗達に共通する個人的な感想は、魔力の宿った闇が隠れているように思うことです。画業に対する執念からなのか、その魔力に絡め取られそうな快感を感じるんですよねぇ~。
抱一は、お手本のような安定感。バランスの良い構図に、鮮やかな色彩。だれしもが美しいと感じたのではないでしょうか。
他に中原南天棒「托鉢僧行列図」は、先月の芸術新潮にも紹介されていたようにおもいますが、まさに「かわいい」という言葉通りの愛らしさ。伊藤若冲や池大雅など見応えのある内容で、個人のコレクションで展覧会が開催できるなんて凄いことですよね。ああ、どうして肝心な時に体調を崩したのかと自分を責めたくなります。10月の上旬に「岸田劉生展」と「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」「細川家の至宝」に加え名古屋でも観たい展覧会があるんですよねぇ。それまでには体調を整えたいと思います。

そうそう、京都文化博物館リニューアル後、初めての訪問でした。で、長い休館期間を経た割に、それほどリニューアルされていなかったように思うのですが・・・。例えば、トイレが最新式になるかとかね。まぁ、眼に見えないところ(耐震など)で、改装したのでしょうね。
# by umekononikki | 2011-09-26 12:52 | 展覧会

きみがくれたぼくの星空

きみがくれたぼくの星空_f0149664_105438.jpgきみがくれたぼくの星空
ロレンツォ・リカルツィ著
泉典子訳

脳血栓で身体の自由を奪われたトンマーゾは、収容された老人ホームで、知性あふれる女性エレナに出会う。人生の終着点で初めて知った、真実の恋が奇跡を生んだ。メランコリックでユーモラスな、究極のシルバー恋愛小説。

素敵な物語。恋愛小説という枠に収めたくない豊かさ。老いることや、恋愛、家族愛、生き方までと、多くを考えさせられ、また勇気付けられました。高齢化社会の中、「老い」について語られる機会も多いですが、「老い」とは単に歳をとることではないのだと、改めて感じさせられました。
私も結婚もせずいい歳になり、人生に目標が無くなってきたんですよねぇ。欲するままに、ふらふら遊び歩く日々。何を始めるにも遅すぎると感じていましたが、まだまだ先は長いことに気付きました。女性の平均年齢は、80歳を超えているのですから!ましてや、先が長い短いの問題でもありません。そんな私に、希望や挑戦といったキーワードを失わないよう、背中を押してくれる言葉が沢山詰まっていました。トンマーゾは病気という壁に遮られていましたが、私も年齢や世間体という壁に遮られて見えていなかったように思います。世界はこんなにも広いのよねぇ~。(すみません。本の感想ではなくなってきましたね。)

そんな訳でして、人生これからだと元気も出たところで、明日から9連休です。2回ある3連休の間の3日間は有休をとりました。その間、ブログはお休み致します。このところ、なにかと決心がつかずグダグダだった気持ちの整理も兼ねて、9連休遊んできま~す。(←結局、遊びです。)
# by umekononikki | 2011-09-16 10:05 |